「JKビジネス」女子がみんな欲しがるモノ
「セックスワークサミット2017秋 」第3部レポート 第3回
●「他人には勧めない」仕事をする理由
休憩室では、女性たちはスマホをいじったり、化粧を直したりしています。積極的に話しかけてくる女性もいれば、他の女性が来ると居づらそうになって出ていってしまう女性もいます。地方から出稼ぎに来ている人もいれば、プロダンサーを目指していて、レッスン代を稼いでいるという人もいました。地下アイドルやホストのためのお金を稼ぎたい、という人もいる。とにかく若いうちに稼げるだけ稼いでおきたいという人もいる。
目標が明確な人もいれば、あまり計画性に乏しい人もいる。友達のネットワークを活かしている人もいれば、孤軍奮闘でがんばっている人もいる。どこかよそよそしくて人間不信が垣間見えるような女性もいれば、大学に通い、昼のバイトと兼務して、友人も多数と社交的な女性もいる。リフレで働く女の子といっても、本当に多種多様ということが分かりました。
昨今、JKビジネスで働く女性について、社会的養護や貧困に紐づけた特定のイメージの中で語られがちですが、私が接した女性たちはそういったイメージとは必ずしも一致しませんでした。
また、私が話を聞いた女性達の中で明確な困り感を見せる女性はほとんどいませんでした。強いて言えば、「どうやったら稼げるようになりますか?」という悩みくらい。法律的なことや福祉的なことで今現在困っているという声は出てこない。一方で、金銭感覚がおかしくなっていることや、いつ身バレするか、将来本当に辞められるのかといった漠然とした不安を持っている人は多数いました。
そして、「自分より年齢の低い子がこの仕事を始めると言ったらどのようなアドバイスをするか?」という質問をしたところ、「辞めておいた方がいいよ」「相当厳しいことになるよ」と、否定的な答えをする人が多かったのも印象的でした。リフレで働くことについて「やめるつもりもないし、これからも続けていく」と肯定的に話す人もいたのですが、そういう人であっても「他人には勧めない」と語りました。それはなぜなのでしょうか。
私が聴いたのはまだまだ一部の女性たちの声にすぎないので、今後ももっと色々な女性たちから声を聴いてリフレの実情やニーズをつかんで、子どもや若者に対する社会の認識や支援とのズレを考えていきたいです。
またリフレの女性たちの中には、性被害や性感染症に関する危機意識が低くて心配になる女性もいました。ただ、そこで上から目線で説教しても仕方ないので「何かあったら相談できるよ」「こういうことには気をつけて」とそれとなく情報を伝えて、記憶にとどめてもらい緩く細い糸をつなげる関わりを心がけています。
リフレの女の子たちが安全に働いて生活していけるためには色々な情報が必要ですが、そうした情報が必ずしも彼女たちに十分に行き届いていないと感じます。ですので、今後は、リフレ嬢向けのガイドブックみたいなものを作っていければと思っています。その中には福祉的な視点だけではなく、「稼ぐためにどういう工夫をしていけばいいか」といった彼女たちが欲している情報も入れていきたいと思います。彼女たちが興味を持って手に取ってもらえるようにして、ページをめくっていった先に、法律や福祉の情報もあるガイドブック。そうしたものが広まっていけば、多くの子に情報が届き、細い糸でつながることができるのではないか。その糸が、いずれは違法就労の現場にいてリーチすることが困難なアンダーの子たちにも広まっていってくれれば、と考えています。
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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。